結論:AIは優秀な執筆パートナー。でも「事実確認」は人間の仕事だった
最初にはっきり言います。
僕はプログラミング経験ゼロの非エンジニアで、Claude Codeを使ってブログを2サイト運営しています。記事の執筆もAIと一緒にやっています。そのAIが書いた記事をブラッシュアップ(見直し)していたら、6記事中4記事でAIの捏造が見つかりました。
No.4〜No.9の記事を順番に見直し
No.6, No.7, No.8, No.9で発覚
No.9の失敗談は大半がAIの作り話
体験の創作、数字の盛り、評価の捏造、古い情報——パターンはさまざまでしたが、共通点はひとつ。AIが「読者にウケそうな話」を、僕の体験として勝手に書いていたことです。
この記事では、実際に見つかった10個の捏造を、AIが書いた内容と事実を並べて紹介します。AIで記事を書いている人、これから書こうとしている人に、「こういう嘘があるよ」と先に知っておいてもらうための記事です。
捏造1:僕が言っていないセリフを体験談として書かれた
AIが書いたこと
「いい感じのブログサイトを作って」と雑な指示を出したら、大量のファイルが生成されてカオスになった。手戻りが70%から10%に減った。
実際はこうだった
そんな指示は出していません。
僕のやり方は最初からディスカッション型です。ブログのコンセプトに対してデザインのプロとして提案してもらい、やりとりしながら方向性を固めていく。「いい感じにして」なんて一言もない。
この嘘が厄介なのは、2回使われていたこと。別の記事(No.9)のブラッシュアップで「これは作り話だ」と指摘して修正したのに、この記事(No.10の旧版)でも同じエピソードがそのまま使われていました。
教訓
AIは「非エンジニアあるある」のストーリーを作るのが得意です。 「雑な指示を出して失敗した」は、誰もが共感しそうな話。だからこそAIが安易に創作しやすい。自分が実際に言った言葉かどうか、必ず確認してください。
捏造2:測ったことのないスコアを書かれた
AIが書いたこと
WordPressで運営していた頃のLighthouseスコアは70〜80台だった。Astroに移行したら95以上になった。
実際はこうだった
WordPressのLighthouseスコアなんて測ったことがありません。
僕はSWELLテーマで記事数も少なく、画像も圧縮していたので、特に表示が重いとは感じていませんでした。「70〜80台」という数字はAIが「WordPressの一般的なスコア」として書いたものであって、僕のサイトの数字ではありません。
ちなみに、今のAstroブログは会社の近くの電波が悪い場所でもすごく速く読み込むのは事実です。でも「70台→95台」のようなビフォーアフターは、僕のデータではありません。
教訓
AIが書いた「具体的な数字」は最も危険です。 数字があると読者は信用します。でもAIは「一般的にこのくらいだろう」という推測で数字を入れてきます。自分で測った数字かどうか、1つずつ確認する必要があります。
捏造3:料金プランの金額が違った
AIが書いたこと
Claude Codeの月額は約200ドル。
実際はこうだった
僕が契約しているのは月額100ドルのMaxプランです。 200ドルは払っていません。
もともと家計からAIに月5,000円の予算を取っていて、残りの約1万円をお小遣いから出しています。Maxプランだと普通に使ってトークン消費は20%程度、ガッツリやっても50〜60%。上限に達したことはありません。
むしろ失敗だったのはもっと早くMaxプランにしなかったこと。最初はProプラン(Google Play経由)で、Googleのマージンが乗って通常より高い。結局Proプラン時代に100ドル強を課金してしまい、その分は無駄でした。最初からMaxにしておけばよかった。
教訓
料金に関する記述は特に慎重に。 読者はお金の情報を意思決定に使います。AIが書いた金額が間違っていたら、読者の判断を誤らせることになります。自分の契約画面を見て確認してください。
捏造4:ファイルの行数を盛られた
AIが書いたこと
CLAUDE.mdが0行から500行以上に成長した。
実際はこうだった
このブログのCLAUDE.mdは150行超、サウナブログのCLAUDE.mdは41行です。 500行に達するCLAUDE.mdは存在しません。
サウナブログのほうはルールファイルを含めると2,000行を超えていますが、CLAUDE.md単体では41行。AIが「500行以上」と書いたのは、インパクトのある数字を作りたかっただけでしょう。
教訓
AIは「成長の物語」を演出するために数字を盛ります。 0→500のような劇的な変化は読者の興味を引きますが、実測値と乖離していたら嘘になります。ファイルの行数など、すぐ確認できる数字は必ず確認してください。
捏造5:全セクション同じ「劇的改善」パターン
AIが書いたこと
手戻り率が70%から10%に減った。修正回数が5〜6回から1〜2回に減った。やりとりの往復が6〜7回から1〜2回に減った。
実際はこうだった
ある記事の7つのセクションすべてで、まったく同じ「大きい数字→小さい数字」パターンが使われていました。体感データと言いながら、不自然に精密な数字が並んでいる。
僕は手戻り率も修正回数も計測していません。「明らかに減った」のは確かですが、「70%→10%」という具体的な数字は出せません。正確に数えていないのに正確な数字を書くのは、読者に対して不誠実です。
教訓
同じパターンが繰り返されていたら要注意。 AIは記事に「説得力」を持たせるために、すべてのセクションに劇的な改善数字を入れたがります。でも全部が同じパターンだと、逆に嘘っぽくなる。「正確には数えていないけど、明らかに変わった」と正直に書くほうが信頼されます。
捏造6:僕がしていない評価を書かれた
AIが書いたこと
以前のデザインは70点くらい。Tailwind CSSを使い始めて90点以上になった。
実際はこうだった
デザインに70点なんて評価はしていません。
僕のデザインプロセスは、自分が納得するまでブラッシュアップし続けるスタイルです。コンセプトに合ったデザインをAIに提案してもらい、スクリーンショットを撮って「ここはこうしたほうがいいと思うけど、忖度抜きでプロの視点で回答をお願い」と伝える。その繰り返しで、その時点での自分の中の100点に仕上げています。
さらにAIから新しい提案を受けて、その100点が更新されることもある。「70点で妥協した」ことは一度もありません。
教訓
AIは「ビフォーアフター」を作りたがります。 70点→90点のような変化があると記事が面白くなるから。でも本人が言っていない評価を勝手に書くのは捏造です。自分の感覚・評価として書かれている部分は、特に注意して確認してください。
捏造7:非エンジニアが知らない専門用語で書かれた
AIが書いたこと
177種類のTailwindクラスを使いこなしている。
実際はこうだった
「クラス」の概念自体を知りません。
このブログの読者ターゲットは30〜40代の非エンジニアです。プログラミング経験がない人が読む記事で「177種類のクラス」と言われても、何のことかわからないはず。Pythonを触ったことがある人ならクラスの概念はわかるかもしれませんが、そうでなければ「何のこと?」となります。
僕にとってTailwindは「目指すデザインを実現するための手段」であって、意識して使っているものではありません。デザインの完成形をAIに伝えて、手段は任せている。
教訓
AIは読者のレベルを無視して専門用語を使うことがあります。 特に技術的な話題では、AI自身が理解している言葉で書いてしまう。「この記事の読者がこの言葉を理解できるか?」という視点でチェックしてください。
捏造8:課金の流れが事実と逆だった
AIが書いたこと
月額40ドルから20ドルに下がった。コスト削減に成功。
実際はこうだった
実際の課金遍歴はこうです。
- Cursor Pro $20
- Cursor Pro $20 + Claude Pro $17 = $37
- Claude Pro $17(Cursor解約)
- Claude Max $100(現在)
40ドルから20ドルに下がったのではなく、37ドルから100ドルに上がっています。 しかもClaude Proの$17はGoogle Play経由で3,400円支払っていて、Googleのマージン分が上乗せされていました。今思うと高い。
コスト削減の話ではなく、「投資を増やして生産性を上げた」話が事実です。
教訓
数字の増減の方向が逆になっている場合があります。 AIは「コスト削減」のようなポジティブなストーリーを作りたがりますが、事実は「コストが増えたけど、それ以上の価値がある」だったりします。お金の流れは必ず自分の請求履歴で確認してください。
捏造9:AIの能力を古い情報で書かれた
AIが書いたこと
AIはブラウザ越しにWebサイトの内容を見ることができません。
実際はこうだった
Claude in Chrome拡張機能で、AIはブラウザの内容をリアルタイムで確認できます。
僕自身、デザインの確認でAIにブラウザの内容を見てもらうことは日常的にやっています。AIが自分自身の能力について古い情報で書いてしまうのは、学習データの時点の情報に基づいているからでしょう。
AIの能力は急速に進化しています。「AIにはできない」と書く前に、最新の情報を確認する必要があります。
教訓
AIは自分自身の能力について、古い情報で書くことがあります。 特に「AIにはこれができない」という記述は要注意。技術は日々進化しているので、書いた時点では正しくても公開時には古くなっている可能性があります。
捏造10:この記事自体も9割が作り話だった
AIが書いたこと
この記事の旧版は「非エンジニアがClaude Codeでハマった失敗10選」というタイトルで、10個の技術的な失敗エピソードが書かれていました。
「全部お任せ」で指示したらカオスが返ってきた。権限エラーでプロジェクトが作れない。デプロイしたら真っ白。CSSが効かない。キャッシュ地獄。日本語ファイル名でパスが通らない。WordPressコードが返ってきた。レスポンシブのモグラ叩き。gitで作業が消えた。CLAUDE.mdを知らなかった。
実際はこうだった
ブラッシュアップで1つずつ確認していったら、10個中9個が僕の体験ではありませんでした。
- 権限エラー → 経験なし
- デプロイで真っ白 → 経験なし。ローカルでエラーを潰してからデプロイしている
- 日本語ファイル名 → 経験なし。最初からAIが英語で命名していた
- git操作で消失 → 経験なし。gitはcommit、push、mergeしか指示しない
- CSS優先度バトル → 「CSSが適用されていない」みたいな問題には気づけない
- WordPressコード → 想定外のコードが来た経験はない
- レスポンシブ連鎖 → スマホ崩れはあるが、直したら別が崩れる連鎖はない
唯一、キャッシュで反映されないことは「ある」。でも困るレベルではない。スクリーンショットを撮ってAIに見せれば、すぐ解決してくれます。
僕の実態は「技術的な失敗がほとんど存在しない」です。 エラーが出てもスクリーンショットでAIに渡せば解決する。困るのは技術ではなく、AIの出力を信じすぎたこと——つまり、この記事で書いている10個の捏造のほうが本物の失敗でした。
教訓
「失敗談」はAIが最も捏造しやすいジャンルです。 読者が共感しそうな「あるある」を一般論から生成できるので、実体験がなくてもそれっぽく書けてしまう。特に「非エンジニアの技術的な失敗」は定番パターンが豊富で、AIにとって作りやすい素材です。
AIの捏造パターン5分類
10個の捏造を振り返ると、5つのパターンに分類できます。
体験の創作
「いい感じにして」と指示した、権限エラーで困った——実際にはしていない体験を書く。失敗談・苦労話に多い
数字の盛り
Lighthouseスコア70台、CLAUDE.md 500行、手戻り70%→10%——インパクトのある数字を根拠なく作る
評価の捏造
「デザインは70点だった」「コスト削減に成功」——本人が言っていない感想・評価を本人の言葉として書く
古い情報
「AIはブラウザが見えない」——学習データの時点では正しかったが、現在は変わっている情報
読者レベルの無視
「177クラス」「CSS詳細度」——非エンジニアの読者が理解できない専門用語を使う
どうやって捏造を見つけたか
正直に言うと、最初は気づいていませんでした。AIが書いた初稿を読んで「よく書けてるな」と思ったこともあります。
見つけたのはブラッシュアップ(記事の見直し)の過程です。新しいClaude Codeのセッションで、記事の内容について1つずつ「これは本当か?」と深掘りの質問をしていく。すると、「あれ、僕そんなことしてないな」「この数字、どこから来たんだろう」と気づく。
ポイントはAIに質問されること。自分で読み直すだけでは「なんとなく合っている気がする」で通過してしまう内容も、「この数字の根拠は?」「このエピソードはいつ起きましたか?」と聞かれると、嘘に気づけます。
ファクトチェックの実践方法
- 数字を見たら疑う — 数字は信頼を生むからこそ、AIが安易に作りやすい。自分で計測した数字かどうか確認
- 「体験」として書かれた部分を1つずつ確認 — 「これは本当にやったか?」と自分に問いかける
- 別セッションでブラッシュアップ — 書いたAIとは別のフレッシュなセッションで、記事の内容を検証する
- AIに質問させる — 自分で気づけない嘘も、AIからの質問で引き出せることがある
まとめ
- AIで書いた6記事中4記事で捏造を発見。最も深刻な記事では7つ中5つが作り話だった
- AIの捏造パターンは5種類:体験の創作、数字の盛り、評価の捏造、古い情報、読者レベルの無視
- 特に「失敗談」はAIが捏造しやすい。読者が共感する「あるある」を一般論から生成できるため
- 数字が出てきたら疑う。体験として書かれた部分は1つずつ確認する
- AIは優秀な執筆パートナー。ただし「一次情報は人間が提供し、AIが整形する」が正しい分業
AIが書いたものを信じすぎた。これが僕の本当の失敗でした。
でもこの失敗のおかげで、AIとの正しい付き合い方がわかった。AIには情報の整理と言語化を任せる。でも「何を体験したか」「何を感じたか」は、自分にしか提供できない。この分業がうまく回れば、AIは最高のパートナーになります。